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警察学校日記

 1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。

怒号の嵐

4/1(月)  入校の恐怖

 後悔の念はあった。しかし、それを超えていた。

 受付から指示された場所へ向かうと、既にいた入校生がヤクザに絡まれているような光景を目にした。

 「おはようございます。倉田広樹です」
 「てめぇ、その髪型なんだよ!お前なめてんだろ?」
 「なめてないです」
それを聞いた教官から怒号が飛んだ。
 「なめてるから、そんな髪型なんだよ。お前もういいよ、帰れ」
 「すいません、受付お願いします」
教官は手で振り払い、
 「最後尾からやり直してこい」

 動揺した自分は目がおよいでしまった。そのまま自分の受付が来た。
 「おはようございます!藤原高貴です」
大きな声で言えたし、一発で通る確信を得た。
 「相手の目をしっかり見て挨拶できねぇーのか?」
意表を突かれた思いだったが、すかさず
 「できます」
と言った。
同時に自分の内面を見透かされたようで、それまでの不安以外の感情を覚えた。
 「おはようございます!藤原高貴です」
 「出来るんなら、最初からやれよ!」
 「はい!」
 朝から気合いの入る叱咤である。
 
 この後、挨拶と同じように、オレは予想外の警察学校生活を送ることになった。

4/2(火)  怒号の支給品貸与

 支給品の貸与が始まる。体育館に集合させられ、一つずつ確認していくが、はっきり言ってペースが速すぎる。最近流行のロードバイク並みに早い。ママチャリじゃ追いつけん。
 「お前はトロいな。意識が低いんだよ-」
 教官!全力疾走です。って心の中で叫ぶ余裕も無く、更にミスはミスを繰り返していった。

 正直、たかがこんな些細なことで、こんなに怒られなきゃいけないかと思うとこの先どんなことが待ち受けているのか不安で不安で・・・水槽の中に顔面だけ押しつけ、このまま水槽から出られなくなるんじゃないかとさえ思った。

 夜は夜で貴重な自習時間が全て、指導巡査の指導で始まるのだ。休む暇が無い・・・心の休暇が早くも2日目にして襲ってくる。たしかに、指導巡査は優しい。でも、心の中で早く要点だけ説明して帰って欲しいと思っていたのだ。

4/3(水)  当たりを引いた我が教場

 朝、教室に集合し、各自の自己紹介が始まった。
 意外に意外。普通の自己紹介だったし、むしろ安堵感が生まれたのだ。その安堵感は次のことからだ。
 教官は各自の自己紹介が終わった後に自分の自己紹介を始めた。そして、「私は斉藤と言う。目標は、今いるこのメンバー全員で卒業することだ」
 私は当然、何人かはいなくなるものだと思っていたから、すごくうれしかった。

4/4(木)  始まった警察礼式

 この日、オレは最後、心が折れかけていた。

 警察礼式が一日中あったのだが、ただ、ずっと立ってるだけや敬礼を永遠に繰り返したりする。少しでもずれたり、動いたりすると教官から怒られる。
 「お前らー、教官の方が歩いていて大変なんだぞ。それに比べお前らはただ立っていればいいんだから、どっちが大変かよく考えろ!」
 いやいや、立ってる方が辛いから(>_<)
 思わず心の中で叫んでしまった。立ってるだけというのは、時間が経つのが非常に遅く感じるのは何故だろう・・・。午後5時15分になってようやく警察礼式が終わろうとしていたとき、自分はもう心の中で悲鳴を上げていた。
 とにかく、足が棒になってキツイのである。

 そして、冒頭にもあった衝撃的な光景を目の当たりにする。それは警察礼式がようやく終わった直後、他クラスの教官が発したのである。
 「お前ら、たるんでるな-。今日の態度はどういう事なんだよ!気合が足りねーんじゃねぇのか?え?やり直すか?おい。右にならえ。なおれ!第一列8歩、第二列4歩前へ進め・・」
 他クラスで警察礼式が放課後始まったのである・・・
 
 うちの教官も始めるのではないか?もう顔面にも心の声があふれそうであった。しかし、運が良かったのかこの日はこれで終了になったのである。自分があのクラスだったら、心にひびが入っていたことは間違いない。

4/5(金)  続・警察礼式

 この日も警察礼式である。
 しかも、昨日とはわけが違っていた。それは、体育会系ありがちな腕立てやスクワットなどが入ってきたのである。
 「昨日の練習は活かさないのかよ」
 教官の怒号が飛んできた。
 やばいピリピリした緊張感が出来上がってきた。そして、口は開かれたのです。
 「警察礼式は、警察に入って最初にやる重要な授業である。その重要さが分かってない。分からんやつは体で覚えろー!腕立て用意、連続50回始め」
 これが2回続いた・・・

 この日以降、学生達の緊張感が更に増したことは間違いない。
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