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警察学校日記

 1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。

服装点検は嫌だよ

5/1(月) 1分前の奇跡

 グラウンドに整列した俺たち3組は、隊を整列させ、不安の中残り3分を祈っていた。
 補佐、教官、助教も集まり、あとは点検官である学校長を待つのみだった。警察学校における点検官は頻度が多いため、警察学校長・副校長・初任教養部長の3人が交代で行っていた。
 よりによって今週は、学校長が点検官かよ。

 そんなもうダメだ、オワッタ…という残り1分のとき、グラウンドへ倉田が走ってやってきた。
 副総代は小さく手を挙げて合図を出していた。
 救われた。

5/2(火) 遅刻ではないが

 倉田は間に合った。
 しかし、倉田がグラウンドへ来たとき、300人近くの学生・教官・助教の視線を受けて入ってきた。もちろん、斉藤教官・関根助教の視線の中にもいたと思う。
 そして、すぐに学校長がグラウンドに歩いてやってきた。
 その瞬間、「気を付けー」
 学校長が指揮台に上がり、
 「点検官に注目」
 学校長はゆっくりと全員を見回す。
 「直れー」
 通常点検が始まる。

5/3(水) 指揮官

 通常点検は、点検官と指揮官の二人がいる。号令をかけているのが指揮官である。今日は、434期の教官が指揮官を務めていた。
 号令後、指揮官は点検官の前へ走って行った。
 「通常点検を開始します」
 指揮官は続けて
 「第1列8歩、第2列4歩前へ進め」
 と号令を出した。
 「それでは各担任教官・助教、服装点検を行ってください」

5/4(木) 斉藤教官のチェック

 斉藤教官は3組のところへくると前列からゆっくりと服装点検を開始した。
 「倉田、革靴が汚れてるじゃねーか」
 「すいません。走ってきたので汚れてしまいました」
 実際、倉田の言うとおりなのだ。どんなに革靴を磨いても、グラウンドを走ると、砂ホコリで革靴が汚れてしまうのだ。倉田以外の俺たちだって倉田ほどではないが汚れている。
 「ズボンにしわもあるじゃねーか」
 斉藤教官の服装点検はいつもよりすごく厳しかった。倉田だけでなく他の奴らも、かなり厳しくチェックされた。

5/5(金) 反省

 俺たち入校して間もない学生の通常点検は、その90%近くが服装点検である。
 ひげが1本残っている、アイロンを本当にかけたのか?、革靴磨いたのか?、整列が乱れている、靴下が白い、階級章が逆についているなどきりがない。

 「お前たちは、反省できてないみたいだな」
 いやいや、たしかにミスが起きてしまったが、前回の反省はやった。だから、今回忘れ物はなかった。
 「反省がないから、のこのこやって来るんだろう。倉田!」
 「俺自体が甘い認識だったな。全員で卒業というのは撤回だ。反省もできねぇクズどもなんだからよ」
 「早く行けよ。心の中では、早く終わんねーかな~、とか思ってんだろ。もういいよ、行け」
 ペナルティ無く、俺たちは1限目の授業へ向けて、寮へ戻った。
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