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警察学校日記

 1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。

微熱

5/8(月) 微熱

 日頃の疲れか、体調があまり良くないなと思ったら、37.9度あった。厚生委員が朝と夜に各自の体温を聞き取り、担任教官あるいは他の教官に報告しなくてはいけないのだ。
 俺は、正直に厚生委員に言うかどうか迷った。しかし、嫌なことや面倒なことから逃げる傾向を自覚していたため、正直に報告しようと思った。それに、もし今後悪化して他の仲間に迷惑を掛けることも心配だった。

5/9(火) 病院に行け

 夜点呼が終わり、俺は厚生委員と一緒に当直教官へ報告に行った。
 「当直教官お願いします」
 「初任科第433期3組大野巡査他1名は、健康管理簿の提出及び報告があり参りました」
 厚生委員の大野が申告を務めてくれた。
 「報告?どうした?」
 「はい、藤原巡査が37.9度の体温なので、一緒に報告に来ました」
 「じゃあ病院行け!あとお前、きちんと予防接種は受けてきたか?」

 入校前の2月、警察学校ではインフルエンザが流行していたみたいで、入校前説明会で任意だが予防接種を受けてくるよう言われていた。しかし、俺は任意だし、春以降にインフルエンザなんてかかるわけないと思って、受けなかった。
 「すいません。受けてません」
 「ばかやろう。受けろって言ったじゃねーかよ」

5/10(水) 診察

 当直教官と一緒に車に乗った。
 「もし、インフルエンザだったら、かなりの迷惑をかけるんだぞ!それに、授業を欠席したら、それを取り戻す苦労は大変だぞ」
 「すいません」
 「着いたら、外で待ってくるから早く診察受けてもらえよ」
 「分かりました」
 「あと、連絡はもうしてあるから、入れば向こうも分かるから」
 ジャージ姿に坊主頭と来れば、この辺では警察学校生以外にいない。看護婦さんも常連のように
 「こっちです」
 と診察室へ案内してくれた。

5/11(木) 飴玉

 診察が終わり、当直教官はコンビニに寄ると言った。
 俺は車の中で密かに待っていたが、コンビニにたむろしている若者がこっちをじろじろ見てくる。

 恥ずかしいから見んな!

 ジャージに坊主頭なんて学校外に出たら恥ずかしくてしょうがない。
 当直教官は戻ってくると、飴玉を渡してくれた。
 「誰にも言うなよ」
 「はい、ありがとうございます」
 「寮に戻ってからにしろよ、教官室でバレたら俺がまずいからな~」
 「はい、ありがとうございます」
 「お前あとこれ、教官室出たらポカリスウェット持ってけ」
 こんな教官もいるんだと驚いたのと、嬉しかった。すごく嬉しかった。

5/12(金) 回復

 診察は「風邪でしょう」と終わり、当直教官から病気や怪我で休んでいますという合図の自室就寝マークを受け取り部屋の入口につけるよう指示された。
 就寝時間の夜11時を過ぎていたが、部屋に入ったら部屋越しに聞こえてきた。
 「大丈夫だった?」
 隣の部屋の赤井だった。
 「ただの風邪だって言われた。明日には治ると思う」
 「そっか、明日も体調悪かったら休めよ」
 「ありがとう」

 翌日、俺は体調をすっかり取り戻していた。
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