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警察学校日記

 1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。

紛失事件

5/15(月) 回復の報告

 朝起きて、7時30分から8時までの申告時間内に俺は、熱が出た件で斉藤教官に報告しに行った。
 「教官、昨日熱が出ましたが、朝、体温を確認したところ下がりました」
 「当直教官から話は聞いている。本当に大丈夫なんだな?」
 「大丈夫です」
 「分かった」
 俺は斉藤教官に敬礼した。
 「帰ります」

5/16(火) 平和な1日

 この日、全ての授業においてごくごく普通に過ぎ去っていった。逆に、何もなく普通に終わる1日に不安を覚えることもあったが、半年間、毎日こういうふうに過ぎていくのが普通なのだろうと思う。
 それに、まだ入校してまもないわけだから、教官・助教も普段よりも厳しく接しているのだろう。

 夜の夕食も終わり、自習時間に近づきつつある頃合いに内線電話が鳴った。
 「藤原、助教から電話だぞ」
 俺かよ!と心の中で叫んだ。
 そして何もないことを祈りつつ、電話に出た。
 「お待たせしました。藤原です」

5/17(水) あれはどうした?

 「藤原、お前、今朝に自室就寝マーク返却したか?」
 自室就寝マーク!?そういえば、昨日、当直教官から受け取って、部屋のドアに付けてから全く見てない。忘れてた。そして、それが今どこにあるか確証がなかった。
 「すいません。まだ返してません」
 「もう自習時間になるから、夜点呼終わったら、返しに来い」
 今日は、関根助教が当直の日だった。
 「分かりました」

5/18(木) 紛失!?

 俺は急いで、部屋のドアを確認しに行った。

 ドアのガラスはまっさらだった。
 吸盤でガラスに取り付けていたから、近くに落ちたのかもしれない。
 急いで周辺を確認したが、どこにも見当たらなかった。
 俺は震えが止まらなくなってきた。
 どうしよう…
 入校してから今まで、こんな大きな失敗はしたことがない。何より自分の運の悪さを悔やんだ。
 どうして落ちたんだ?どうして、それが周辺に無いんだ?
 同じ班の班員に事情を説明したが、自室就寝マークを見た記憶はないとのことだった。
 むしろ、「自室就寝マークって何?」と質問された。
 おそらく、俺以外誰も知らないだろう。

5/19(金) 神様は不公平だ

 何故?こんなことが俺に起こるんだ?
 神様は何故、俺だけにこんな仕打ちをするんだ?

 俺は、夜点呼終了後、関根助教に報告に行った。
 「自室就寝マークを無くしてしまいました」
 「は!?探したんか?」
 「探しました」
 「あんなの無くすわけないだろ」
 「みんなで探したんか?」
 「部屋員で探しました」
 「何で部屋員だけなんだよ!今日から教場全員で探せ」
 とんでもないことになってしまったと落ち込んだ。
 「休み時間は全員で探すんだぞ。それで毎日報告しろ。見つかるまでだからな」

 病気をして、落ち込んだかと思えば、良いこともあって、結果良ければすべて良しで終わるはずだったのに、また悪いことが起きた。
 微熱の件が、こんな結末になるとは思いもしなかった。
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