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警察学校日記

 1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。

命令遵守

6/1(月) 課外練習

 自室就寝マークの件は未だに続いていたが、入学式へ向けた課外の練習も行われた。
 自習時間に校歌を覚え、課外の練習で大きな声で歌う。そして、制帽の持ち方、起立時の姿勢などの確認が入念に行われていた。

 練習は遅くなり、風呂と飯の時間も無くなりつつあった。
 斉藤教官はすぐに全員を集めて解散の指示を出した。
 「もう時間ないから、急いで飯をすませて風呂に入れ」

 本当にあと20分しかないからギリギリだった。

6/2(火) 時間短縮の裏技

 食堂と風呂場は同じ建物にあった。食堂が1階で、風呂場は2階だ。
 本来ならば、飯のためにハンカチと箸を持参して食堂に行き、寮へ戻ってきてから、風呂桶と着替えを持って、また同じ建物の2階へ向かわなければならない。
 しかし、俺らは裏技を発見していた。
 風呂桶の中に入れた着替えに箸を隠して、寮に戻ることなく風呂と飯を一緒に済ませるのだ。
 発見した奴に、本部長賞を与えたいくらいだ。

6/3(水) 箸を忘れた

 風呂を済ませた俺たちは、風呂桶を脱衣所に置いたまま食堂へ向かうことになっていた。しかし、俺は箸を忘れてしまった。
 急いで寮に戻ると、斉藤教官が寮に来ていた。運悪く、斉藤教官が話しかけてきた。
 「藤原早いな!もう飯と風呂を済ませたのか?」
 「いえ、飯はまだです」
 「お前は俺の指示が守れねーのか?」
 俺は意味が分からなかった。何故怒られているのだろう?
 「俺は何て言った?先に飯を食って、風呂に入れって言ったよな?」
 そんな重箱の隅をつつくようなことまで怒られなきゃいけないのか?
 「俺が高卒だからって、なめてんだよな?」
 「なめてません」
 「なめてるから俺の指示が守れねーんだよ。お前がそういう態度なら、こっちもそういう態度で臨むよ。早く飯いけ、こらぁ」

6/4(木) 絶対命令

 何でもかんでも、上司の命令に従えばいいのか?
 風呂が先でも飯が先でもどちらでも変わらない。自習時間の20時までには間に合う予定だった。俺は俺なりに先に風呂に入って飯をすませても大丈夫だなと思っていた。
 自分の判断はこの社会には必要ないのだろうか?
 ばかばかしくなった。

 大体、高卒だからってバカにしたことなんて1回もない。
 何故なら、斉藤教官が高卒なんて知らなかったからだ。
 こんな些細なことに、いちいちイライラを溜めていくなんて…

6/5(金) 信用

 どこの社会でも同じだが、信用を失ったら仕事を教えてもらえないということになるだろう。
 警察学校で担任教官に嫌われたら、誰が俺を守ってくれるのか?誰が仕事を教えてくれるのか?
 他教場の教官・助教が教えてくれるほど甘い社会ではない。
 社会に出て気遣い力が大切だと聞いたことがあるが、それは当たっているようだ。
 俺に気遣い力なんて能力は無いとは言わないが、低い。
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