警察学校日記
1日で起きたことを複数日にまたがって、日記にしています。そのため、時間軸がずれています。
赤信号になったHR
6/15(月) 教場当番
解任については、理由がはっきりしていなかったから、半分納得し難いものだった。
そして、今日、俺は教場当番が回ってきた。教場当番とは授業について、教官と教場の間の連絡を担う仕事だ。通常、2人で協力して教場当番を行う。簡単に言えば、小学・中学の日直当番のようなもの。
教場当番の大変なことの一つに、授業連絡がある。これは自分たちの当番日以前に授業担当教官に授業について必要な準備や場所などについて伺いに行くことだ。
数日前のことだが。
6/16(火) 早い
初めての教場当番ということで、俺はもう一人の教場当番と話し合って、それぞれの担当を振り分けた。
俺の担当は、交通と捜査書類になった。交通は斉藤教官である。遅れるとまずいと思って早めに授業連絡に向かった。
「授業連絡に参りました」
斉藤教官は手帳のようなものを取り出し、驚いた顔をしていた。
「藤原、授業連絡早すぎねーか?次の授業が終わってからまた来いよ。じゃないと分かんねーよ」
「はい。分かりました」
6/17(水) 教官がいない
「ヤバいよ、どうしよう」
教官がいない。斉藤教官の授業は明後日だというのに、2日前から運悪いのか意図的なのか、いや前者だと思うが、教官室に教官がいない。
午後の授業が始まる前、もう一人の教場当番に不安を漏らしていた。とりあえず夕方にもう一回行ってみる。
教官はいなかった。最悪、前日だが、朝・昼・夕の3回は教官室に行くチャンスがあるのだから何とかなるだろう。明日再度、授業連絡をすることにした。
6/18(木) ホームルーム(HR)
朝のホームルームは教場に集合し、教官・助教からの連絡・指示事項を共有する。
8時30分になると学校中に国歌が流れる。学校長を始め、補佐・教官・助教・職員・学生全員が国旗の方向へ正対する。国歌が終わると一礼をして終える。朝と夕方にあるのだ。これをずっと毎日繰り返していると、不思議だが少し愛国心が出てくる。
今日は斉藤教官は来ず、関根助教だけがホームルームに来た。
「以上で指示は終わりだ。おい古西、お前聞いてんのか?なにボーッとしてんだ」
古西はハッと顔を少し上げ、謝っていた。
「俺が今、どういう指示を言ったか全部言ってみろ」
「健康管理と…」
関根助教は真顔で朝から大きな声を立てた。
「全然聞いてねぇじゃねーか。そんなんでいいんか?」
「お前、授業でもそういう態度なんだろ!?」
「俺が言った指示を早く言えよ」
古西は、困ったオーラ全開モードでモゾモゾしていた。
6/19(金) 古西踏ん張れ
見せしめというのは見ている方も辛い。
「前出ろ」
関根助教は、古西を教壇の横へ指で示し、前へ出させた。
「指示を思い出すまで、ここで腕立てしてろ」
古西は一瞬泣きっ面のような表情を見せたが、すぐに腕立てへと姿勢を変えた。
見ていて辛い。助教、まだ終わらないんですか?ホームルームは。
「古西、休んでんじゃねーぞ。それとも思い出したんか?」
「すいません」
ようやく助教の連絡・指示事項が終わった。
「古西もういい。思い出したか?」
「すいません、思い出せませんでした」
「お前の指示事項簿見せてみろ」
古西は自分の机へ戻り、指示事項簿を助教に手渡した。
「全然書いてねーじゃねーか、明日からきちんと書けよ。毎日チェックするからな」
午前の2限目に武道がある。しかも、古西は柔道だ。あいつ体力もつかな…
ホームルームから気が抜けない。他人を見て我がふり直せかな。
「あー最後に、今日は斉藤教官が本部への用事があるためいないから、連絡等ある場合は私のところに来るように」
他人を見て我がふり直せとか思ってる場合じゃない。急いでいるのに、黄色信号から赤信号に変わったときのような…そんな苛立ちを覚えた。何故そうなる!?
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